ハイキャパ4.3ガスコキ(ガスコッキングガン)製作と試射記録
ガスコキ(ガス式エアガンのブローバックを解除し静穏化に特化したカスタム手法)というものに、前々から気にはなっていたが加工の難しさから着手できずおり、半年ぐらいもんもんとしていた。
そんな矢先、ヤフーオークションでハイキャパ用ガスコキ化シリンダーとショートリコイル化スペーサーが出品されているのを見つけ、時は来た!!とすぐさま入手した。
パーツは個人が3Dプリントで製作したもの。まずはマニアックな部品を設計製作してくれた出品者に、
「ありがとう!!!」
と、お伝えしたい。主観ではガスコキの導入労力が10分の1ぐらいになる。
職人技が必要なシリンダーのガスルート構築作業が無くなる上、ノーマルシリンダーも無傷で残せるので元のガスブローバックに戻すのも容易。
このようなマニアックな部品が個人でも製作できる素晴らしい時代になったなぁと思う。勢い余って組み込み用とスペアと2セット入手してしまった。
手元にはご縁があって中古のハイキャパ5.1のフレームはある。そこで秋葉原の某エアガンショップでハイキャパ4.3のスライドを入手。購入時には店員さんにお願いしてサイレンサー取り付けの為にアウターバレルにサイレンサーアダプターを取付けていただいた。
サイレンサーアダプターはプラスチックのアウターバレルに専用工具を使いねじ込むタイプで、取り付け前に接着剤を適量付けるのがポイントらしい。
また、サイレンサーも別途購入。
まずはスライドを分解し金属製のピストン廻りの部品まで取り出す。この際、細長いスプリング、「シリンダーリターンスプリング」が飛び出してくる時があるので注意。次にノーマルのシリンダー一式を抜き取り、ピストンのネジを緩めピストンヘッドを取り外す。
そこにガスコキシリンダーをセット。
ガスコキ化シリンダーは組み込み後は位置が固定されるよう形状が工夫されているので、 細長いシリンダーリターンスプリングは不要になった。
ノーマルシリンダーを加工する場合はシリンダーリターンプリングの代わりに鋼線等を入れてシリンダーの戻りをキャンセルしないと、スライドを引く際にシリンダーが戻る「カシャコン」という音が発生してしまう。発射には問題は無いが作動音は減少するのでこれはうれしい仕様。シリンダーの設計者はいい仕事をしていると思う。
上の部品、ノーマルのシリンダー一式とピストンヘッド、ピストンヘッドの固定ビス、シリンダーリターンスプリングが改修後には不要になる部品たち。ノーマルに戻す際は必要になるので大事に保管。
後は元通りに組み立て。ハイキャパ4.3の場合は、先にリアサイトをスライドに取付けてからピストン廻りの部品を位置を決めてスライドに押し込む。
部品が定位置にあることを確認した上で固定ネジを締める。
スライドが組みあがったらショートリコイルスペーサーをスプリングの上からかぶせるように押し込み取付ける。
ちなみに取り外す場合は、指では力が入りにくく難しい。ペンチでも同様。そこでデンタルフロスを引っ掛けて引っ張るようにしてみた。
勢い良く引っ張ってスペーサーを飛ばさないよう注意。
(※デンタルフロスを使わずとも、スプリングガイドを取り外せば部品をはずせることに半年後に気が付きました。)
次にシャーシ側の部品の取り外し。グリップを取り外した上でシャーシカバーを取り外す。
(ここでバルブを叩く部品、「ノッカー」に引っかかっているスプリング、ノッカートーションの取付け方をよく観察しておくと組み立ての際にスムーズ。)
ノッカーを取り外すと見えてくるネジを緩め、シャーシインナーを分解。
シャーシカバー側に組み込まれているノッカーロックとノッカーロックスプリングを取り外す
上の写真にあるのがノッカーロックとノッカーロックスプリング。部品は小さいので無くさないように注意。この後ノッカーロックとノッカーロックスプリング以外のパーツを分解と逆の順番で組み立てる。
最後に ハンマースプリングの調整。グリップに付いているハンマースプリングハウジングからハンマースプリングを取り出す。
ノーマルスプリングは加工したくなかったので、社外品を購入しカット。半巻きづつカットしては組み込み作動を繰り返し、マガジンのバルブスプリングの力でハンマーが押し返され、ガスが止まるポイントを探る。
カットの際、模型用の精密ニッパーを使うと刃先がみるみるボロボロになってしまった。スプリングカットの際は電線を切る用の大きめのニッパーの方が良いのかもしれない。
今回は1㎝と少しカット。カットしすぎた場合はワッシャーを噛ませる等で若干だが調整できそう。カットが足りない場合はガスが勢い良く噴出す。ここの調整は気温にも左右されそうなので、今回のガスコキ改修の最も難しいポイントだった。
ハイキャパ4.3のスライドは5.1に比べコンパクトな為に全長150MMのサイレンサー装着時も若干コンパクトになる点が気に入っている。
最後にサイレンサーの銃口にもプチカスタム。マスキングテープを貼り弾の出口に放射状のカットを入れることでさらに静穏性が向上する。
サイレンサーは発射音の高音部分をカットしてくれ、未装着時は「パキッ」と聞こえる発射音が装着時は「ボスッ」に大きく変化した。
下は試射の動画です。距離は約5M。
蝋燭の火消しに挑戦。普通の意識状態ではハードルが高そうなので、無心剣の技法を応用しています。
2射目までの射撃の間隔が妙に長かったり、ため息ついたりしているのはその為です。
動画では10射目に蝋燭の火が消えていますが、当初本人は蝋燭ごとふっとばして火が消えたのかと懐疑的でした。確認すると蝋燭は無傷で立っており、燃える芯の一部を弾丸がかすめていった模様。
思い返すと1回目から10回目の射撃中は、頭の中で以下のようなことをごちゃごちゃと考えている状況だった。
1回目 動画撮影に気を取られて有心120パーセント
2回目 はっと我に帰りやるべき事を思い出す
3回目 流れに乗りつつトリガーを引く。惰性とも言うかも
4回目 揺れている中でタイミングを探る
5回目 4回目のフィーリングを再現しようと試みる
6回目 狙いながらも身体の力みを徐々に消してゆく
7回目 更に力みを取り除く
8回目 今日は成功しないんじゃないかと強めに思う
9回目 とりあえずトリガーを引く
10回目 深く息を吐いた後、成功
結果はともかく通常の意識状態での射撃に比べて体と心の自己観察力が増していると思えた。
多分、射撃に十分に馴れ親しんでいる人の場合はこれらやこれ以上のことを意識せずとも自動的にかつ適切なタイミングで行えているのだろう。
あらためて動画をチェックすると、ブローバックがキャンセルされた影響でトリガーを引いてから弾が発射されるまでの間の銃のブレがとても少なくなっている点に気が付いた。
これはサイレンサーの取り付けにより銃のバランスが前よりに変化したことと、重量が増加したことで、狙いを定めている最中やトリガーを引く時のブレを吸収しやすくなったよう。ガスコキ化のメリットは静穏性の向上だけではなく、命中精度の向上にもあるようだ。
デメリットとしては連射性能が損なわれる点や、パーツの交換や取り外しに銃の本格的な分解が必要な点だろう。