スリングボウ初速測定

自作 SlingBow(スリングボウ)と、その他飛び道具の初速測定と比較
測定はCHRONY製弾速計を使用


①SlingBow スリングボウ

自作スリングボウ「ゾンビバスター」
構成:ファルコンハイパワー(折りたたみ式)
+脱着式スリングボウアタッチメント搭載
矢:鳥羽根仕様専用矢
材質 アルミ 重量27g


平均初速30.05mps
時速換算約108km
有効射程距離 15m程度


②BlowGun 吹き矢

ハンドメイド吹き矢「無心筒」
全長1700mm 内径14.4mm
材質:ステンレス
矢:2mm針高強度タイプ 重量4.7g


平均初速27.19mps
時速換算約98km
有効射程距離 20m程度



③Archery(barebow)アーチェリー(ベアボウ)

25インチアルミハンドル
+Mサイズリム使用
68インチ 44lbs 
矢:アルミ矢 重量21.7g



平均初速53.70mps
時速換算約193km
有効射程距離 90m程度
(ベアボウとは、オリンピックで使うタイプの弓から、
照準器や射撃安定装置などを取り払い、弓として機能する最小構成にしたもの。
「bare」とは裸という意味。「Bear」熊用の弓ということではない。)


●有効射程距離の定義は、
的上で、
「刺中した矢が、自重では落下しない」
距離としている。
最低でも畳の的に1cmは刺ささる必要がある。


確実に的の高得点範囲に当てる精度を出す為や、
狩猟道具や武器としての能力を発揮する為の距離となると、
さらに短くなる。



●測定の結果、スリングボウの初速は、
吹き矢以上、アーチェリー未満というものになった。
矢の重量を軽くすれば、若干の初速の向上は期待できるが、
威力では、アーチェリーには及ばない。


吹き矢に関しては、トレーニングを積めば、
さらに初速と威力の向上が見込めると考える。
この場合、スリングボウと吹き矢の初速は同じ程度なるのではないかと推測する。


初速が同じ場合は、飛ばす「物」の重量で運動エネルギーが変わってくる。
吹き矢(4.7g)に対してスリングボウ矢(27g)を、
運動エネルギー(J:ジュール)で比較を行ってみる。
厳密には、それぞれの矢の先端の形状も関係してくるが、
運動エネルギーが大きい方が、衝突エネルギーも大きく、
この比較方法では、
スリングボウの威力は、吹き矢の約6倍とも表現できる。
(アーチェリーの場合はスリングボウに対して約2.4倍)


適切な例ではないかもしれないが、重量と、運動エネルギー、威力の関係を例えると、
机の上から足にめがけて落ちてくるのが、
軽いボックスティッシュと、重い鉛のブロックでは、
鉛のブロックにあたった時の方が、遥かに痛いだろう。
同じスピード、同じ形状でも、
重い方が、より運動エネルギーが大きいので痛い。
つまり、威力がある。



●スリングボウの利点として、
比較的コンパクトで、シンプルな構成は、
持ち運びの簡単さや、壊れにくさに繋がると考える。
また、構えた時の体勢の自由度も、他の武器と比べると高い。



武器として考えた場合、
スリングボウはアーチェリーに比べ、威力と射程距離の面で不利だが、
狙う対象から、射手が発見されにくい状況が必要なときなど、
物陰や狭い場所、斜面や不整地からの狙撃をする場合には、
選択枝に入る可能性がある。


逆に、数種類の武器の選択肢がある場合で、
あえて、こだわりからスリングボウを選ぶいうことは、
対応できる状況を狭める行為になりかねない。


スリングボウに限らず、
他の武器でも共通だが、目的に応じて、
手持ち武器の特性を生かした工夫をし、
状況に対応する必要がある。



少し考えてみたのだけど、
どのような状況にも対応できる、
武器はこの世には存在しないと思う。
しかし、
どのような状況にも対応できる、
在り方で、武器を使うことは、
可能だろう。



そんなときには、
スリングボウを選ぶのも悪くない。